Micro Seawind 製作編:

製作の前に、実機がどうなっているか、調べてみました。SEAWIND 300Cという形式のものが見つかりました。
実機は引き込脚も装備しています。前後2列の4人乗りのようです。カラーリングは、白にブルー系のラインが入っているものが多いようです。

この発泡素材(EPO)は、粘りはありますが、軽量でかなり柔らかい素材なので、適時補強して、剛性が出るように工夫しました。
また、モーターは発泡素材に直接取り付けるだけでは、かなり剛性不足、振動の原因になりそうなので、しっかりしたモーターマウントを作ることにしました。

主翼は接着固定とすると運搬、メンテナンスに不便なので、脱着式に、ついでに尾翼も脱着式にしました。
また飛行艇ですので、防水にも注意して工夫する必要があります。

 

 

以下の製作例は一つの例であり、性能を保証する物では有りません。制作時の参考にして頂ければと思います。

製作(1):

ハルの複製製作:

キットのハル(船底)が割れると修理が難しそうなので、FRPで複製を作り、それを使用することにしました。(複製が壊れても、また製作できるように、元のハルを保存しておきました。)
1-1 :

キットのハルの裏側にサランラップを被せ、マイクログラスを乗せ、エポキシ樹脂(5052)を塗り、ポリシートを被せて一晩かけて硬化。部分的にカーボンスパーの補強入れました。
(シートの上に砂、砂糖などをオモシ代わりに乗せるともっと奇麗に出来るというアドバイスがありました)
1-2:   

元のハルから剥がす。サランラップも剥がす。(サランラップが一部うまく剥がれず、ちょっと失敗)エポキシの乗りが薄いところは、後からエポキシ接着剤を薄く塗って補修。
1-3:

エポキシの完全硬化を確認してから、プラカラーで塗装。
塗装した状態で、無塗装の元のハルとほぼ同じ重量(15g)でした。


製作(2):

主翼の製作:

着水時にゆっくり着水できることを期待して、フラップ装備に改造しました。
2-1:

主翼、後縁部分にバリがありギザギザですので、良く切れるカッターで奇麗に切りそろえます。
2-2: 

後縁部分の拡大写真です。
2-3: 

フラップ装備とするので、フラップ部分のヒンジになる部分をカッターの背でへこませます。
2-4:

キット付属のカーボンロッド(太い方)を主翼下面の溝にはめ、瞬間接着剤で接着します。これで、けっこう剛性があがります。但し、上面もロッドをはめるので、下は少し短くカット(あとで垂直尾翼の補強に使う)し、翼端は補強無しとしました。
2-5: 

主翼上面の溝にもカーボンロッドを埋め込み、同様に接着。上面は飛行時にたわむ方向なので、翼端まで埋め込みました。

2-6:

エルロンと、フラップの境をカットします。(干渉しないようにカット幅を取る)
2-7:

フラップがしっかり降りるように、ヒンジの溝をカッターで斜めに広げ調整します。
2-8: 

主翼中央に、エルロンサーボ(別途9gサーボを用意)、フラップサーボ(キット付属のもの使用)にきっちり合わせた穴をカッターで掘ります。
2-9: 

サーボを埋め込み(接着はしていません)、リンケージをセットします。フラップリンケージは、キット付属のエルロン用ピアノ線ロッドを、エルロンリンケージは、ポリイミドチューブ(内径0.5mm)とエレキギター弦3弦(0.4mm)を使用しました。
2-10: 

フラップリンケージの拡大写真。ホーンは航空べニヤの組み合わせ。ピアノ線は差しているだけで、抜け止めにべニヤの仕切り板を立てています。

2-11: 

別角度のフラップリンケージ拡大写真です。
2-12: 

エルロンサーボと、リンケージ。サーボの動作範囲以外は、バルサで台座を作り、ポリイミドチューブをぎりぎりまで接着して、ガタが少なくなるようにしています。サーボホーンに、軽量アルミロッドアジャスターを使っています。
2-13: 

エルロンリンケージの全体写真。リンケージが渋くならないように、ゆるいアールで、エルロンホーンまで導き、ポリイミドチューブは、瞬間接着剤で全面主翼に接着します。
2-14: 

エルロンホーン取り付け部の拡大写真。エルロンホーン(プラ板で製作)の穴の高さに合わせ、リンケージの台座を滑り台状にバルサで作り、動作範囲以外は、ギリギリまでチューブを設け接着します。
直前までリンケージチューブが固定されていますので、ワイヤーは折り曲げてホーンに差し込むだけで、抜けることはありません。

製作(3):

主翼脱着用の補強等:
3-1: 

主翼脱着用胴体受けの製作2mmシナべニアでビス取り付け部とダウエル差しこみ部を製作し胴体を仮組して、主翼とビス、ダウエルと位置が合うように調整のうえ胴体に接着(この時点では反割りの胴体の片側にのみ接着)。
取り付けビス、ダウエルとも2か所としました。この時ダウエル受けに、サーボからのコード通る穴を設けておきます。
3-2: 

主翼上面にシナベニアでビス穴補強板を埋め込み接着。ダウエルは竹串を主翼前縁に差し込み接着。

製作(4): 

モーターマウントの製作:
4-1:

モーターナセル部分、モーター取り付け部は、発泡では強度がないのでこの部分をくり抜き、ベニヤのマウントにします。くり抜く部分をケがいて、カッターで穴を開けます。
4-2: 

モーターはバックマウントなので、モーターを留めるマウントを、シナベニヤ+カーボンキュアシートで、メインのモーターマウントを、シナベニヤで製作しま した。モーター側のマウントにはビスが出っ張るので、スラスト調整用を兼ねて、足を履かせます。モーター側マウントをメインマウントに留めるのは、スペー スの関係で左右と下の3ヶ所としました。
4-3: 

モーター側マウントを裏返した状態の写真。モーターコードが収まる溝も作っておきます。
4-4: 

同上、別角度の写真。モーター側マウントの足は、若干のアップスラスト、サイドスラスト(後ろから見て右)が付くように高さを変えています。ここはテスト飛行後、足を足す等でスラストを調整する予定。
4-5: 

4-6: 

モーターを仮にセットした状態の写真。

4-7: 

4-8: 

モーターカウルはそのままでは、中がモーターに当たってしまいます。モーターに嵌めてみて当たる部分をカッター等でカットします。削っては嵌めて、徐々に削り、あとでモータースラストを変えても当たらないようになるまで、中を削ります。
4-9: 

モーターナセルにモーターマウント・モーターを仮セットした写真。
4-10: 

べニヤのモーターマウントだけでは、取り付ける発泡のナセルが弱いので、尾翼の根元まで、カーボンパイプとべニアを組み合わせた剛性の高いベースを作成しました。
4-11: 

4-12: 

胴体の溝に合わせてべニヤの形を加工。カーボンパイプは6mm径がピッタリ溝に合います。これは尾翼自体の剛性アップにも貢献します。
4-13: 

4-14: 

改めてモーター周りを仮組した状態の写真。少しアップスラストがついています。

製作(5): 

垂直尾翼の補強と、モーターコード延長:

5-1: 

胴体垂直尾翼の中の溝に合わせ、主翼の補強の時にカットしてとっておいたカーボンロッド(太い方)をモーターに近い、前のタテ溝に嵌め接着します。
5-2: 

モーターについているコードでは短いのでスピコンまで届かので、コードを足して胴体前部まで届くようにします。コードがバラけないように、途中何箇所かヒ シチューブでまとめておきます。モーターコードの通る溝は、少しきついので、カッター等で溝を少し大きく広げておきます。胴体接着後、モーターメンテナン ス時は、コードを抜く前にガイド紐をつけて取り出せば、再セットが出来るように少し大きめの溝にしておきます。

製作(6): 

ラダー~水中舵の製作:
ラダーは、ヒンジが少し硬かったのと舵角が十分取れない状態でしたが、今回は切り離さずヒンジの溝をカッターの背で癖をつけ、ヒンジ周りの発泡をカッターで削ぐことで、そのまま使うことにしました。
6-1: 

ラダーと水中舵を連動とするために、胴体尾部を貫通するガイドパイプを作成。連結棒は、別途用意したカーボンロッド1.5mmを使用。ガイドパイプは、付 属のリンケージ用アウターチューブを流用。そのままでは内径が細いので、1.5mm+となるように、ピンバイスで穴を拡げました。
6-2: 

胴体尾部にガイドパイプのみ接着(瞬間接着剤)。ラダーヒンジの根元近くのラダーに穴をあけ、カーボンロッドを差しこみ接着します。
6-3: 

胴体を仮合わせした状態での写真。
6-4: 

6-5: 

水中舵は、付属のFRP製のものでは分厚く、加工もし難いので使用せず、プラ板2枚を用意し、カーボンロッド用の溝を掘ってから張り合わせとしました。
連結棒(カーボンロッド)1本では水圧に負けそうですので、胴体尾部に当たらないギリギリの位置にもう1本ラダーとの連結棒を設け、ラダー側は接着。水中舵側は溝をキツキツになるようにし、差し込むだけとしています。
これは水上テストでプレーニングに入った時に水中舵が水に浸かって抵抗にならないように水中舵の高さを調整できるようにするためです。
6-6: 

水中舵を真下から見た写真。水中舵は、水の抵抗が少ないように端部は薄く削り込みました。

製作(7): 

ラダーリンケージの製作:
ラダー及び、エレベーターのリンケージは、付属のリンケージでは渋さが残るという、先に製作されている方から報告があったのでこれを使用せず、エルロン同様に、ポリイミドチューブ(内径0.5mm)とギター弦(0.4mm)で行うことにしました。
7-1: 

ラダーリンケージは、胴体左パーツの溝を利用、溝がない部分にはスクラップバルサを設置して、ポリイミドを全接着(瞬着)固定し、ガタが出ないようにしました。尾翼の途中でチューブは、外に出しています。
サーボは、付属のサーボを横置き(水が浸入しても多少でも中に溜まりにくい)とし、上からバルサ片で押さえました。胴体主翼受けの部分は、リンケージはその下を通しています。
7-2: 

サーボ付近は、動作範囲を逃げた位置まで、バルサ片のガイドを設け、ポリイミドを接着固定しています。
7-3: 

リンケージ尾翼後部、胴体内から外に出る部分は斜めに穴をあけ、出来るだけリンケージがスムーズに動くようにします。
7-4: 

リンケージラダー取り付け部分。
ラダーホーンは航空べニア+カーボンキュアシートで製作、ホーンの穴は0.5mm。ラダー動作範囲をギリギリ逃げて、バルサ片の台座を設けポリイミドを接着、ワイヤー(ギター弦)は、直角に曲げて刺しただけとし、抜け防止のバルサ片で押さえます。バルサの部分は、最後にプラカラーで白に塗装します。

製作(8): 

エレベーターリンケージの製作:
8-1: 

エレベーターリンケージは、胴体右パーツの溝を利用、溝がない部分にはスクラップバルサを設置して、ポリイミドを全接着(瞬着)固定し、ガタが出ないようにしました。エレベーターリンケージは、すべて胴体内になります。
サーボは付属のサーボではちょっと不安なので、別途9gサーボを用意し、横置きで設置しました。
8-2: 

エレベーターサーボ付近。基本的にラダーのリンケージと同じです。
8-3: 

後部のリンケージ。補強のカーボンロッドと交差する部分は、少し溝を深く掘って緩やかにアンダーパスするようにします。
8-4: 

エレベーターホーンも航空べニア+カーボンキュアシートに0.5mmの穴。ここも、ワイヤー(ギター弦)は90度に曲げて差し込むだけです。
8-5: 

エレベーターホーン部分の拡大写真。(水平尾翼はまだ仮設置です)

製作(9): 

アンテナ用ガイド、電飾の製作:
9-1: 

送受信機は従来バンド使用なので、ラダーリンケージのそばに溝を追加し、ノイズレスパイプで受信機アンテナ用のガイドを設置。最後は尾翼の上に少し飛びださせています。
9-2: 

尾灯の設置。5φ超高輝度赤色LED+点滅用IC+定電流ダイオード(18mmA)で、点滅する尾灯を設置、コードはエレベーターリンケージの溝を利用。電源は受信機空きチャンネルのBEC電源を利用します。
9-3: 

主翼両側にも3φ超高輝度LED黄色の電飾を設置。コードは主翼補強カーボンロッドの溝を利用しました。
電源は尾灯と同様。配線、カーボンロッドは白テープでカバーしました。

製作(10): 

受信機・スピコン防水ケースの製作:
浸水・水没した時に一番被害が出やすいのが、受信機とスピコンです。
そこで、タッパーウェアを利用して防水ケースを設置することにしました。
10-1: 

100円ショップで、4ケ105円の小さいタッパーウェアです。受信機とスピコンがギリギリ入り、胴体にもギリギリ収まるサイズの物を選びます。そのままだと23gと重いので、フタと底の部分を切り取り、梱包テープで再度塞ぎ、少しでも軽く(20g)します。横の面に、コード取り出し部分の穴も開けておきます。
10-2: 

タッパーに受信機・スピコンを入れた状態です。コネクターを差し込む分+αの大きさをで、丁度良い具合でした。
10-3: 

胴体コクピット部分に装着します。タッパーの大きさにに合わせ、コクピット部分の発泡を削り、ピッタリするように調整します。バッテリーは、タッパーのフタの上にマジックテープで固定する予定です。

製作(11): 

胴体の接着と主翼の取り付け:
この段階で、胴体の左右を接着しました。接着は、Scotchのプラスチック用(通称ネリワサ)を両面に薄く塗って、ベタつかない程度に乾かしてから、捩れに注意しながら圧着します。モーターマウントベースは、最後に高粘度瞬間接着剤(木工用等)を塗っておきました。また、隙間が空いた部分、主翼取り付け受けのべニア部分は、後から瞬間接着剤で追加補強接着しました。
11-1: 

主翼をセットし、4mmのタッピングビスで胴体に固定します。

製作(12): 

水平尾翼の補強、取り付け:
水平尾翼も取り外し式としました。
12-1: 

水平尾翼の2本の溝に、付属のカーボンロッド(細い方)を埋め込み、瞬着で接着します。但し、付属のロッドでは長さが足りませんでしたので、動翼の方は、中央付近のみに設置。接着後に確認すると、まだ剛性が足りないようなので、水平尾翼にはタテに切り込みを入れ、3mm幅のカーボンスパー材を埋め瞬着固定しました。これでかなり強度アップしました。
さらに、脱着の受けとして、プラ板(1mm)を取り付け、2.6mmタッピングビスでタップを切っておきます。
12-2: 

垂直尾翼の水平尾翼差し込みのスリット下面に、プラ板を厚み分の溝をカッターで削ってから接着します。水平尾翼側の取り付け穴に合わせて、穴も開けておきます。
12-3: 

取り付けは、リンケージをホーンに差し込みながら、横からスライドさせてセットします。
12-4: 

所定の位置までスライドさせてから、2.6mmタッピングビスで固定します。

製作(13): 

主翼上胴体パーツの取り付け:
13-1: 

13-2: 

主翼上の胴体パーツはダウエル+マグネットで取り付けます。前部には楊枝で作った2本のダウエルを接着。

後部は100円ショップの、超強力マグネットミニ、6mmφ)(8ケ105円)を胴体側と主翼上パーツに穴を掘って、瞬着で取りつけます。
13-3: 

取り付けた状態の写真です。

製作(14): 

モーターカウルの取り付け:
14-1:

モーターカウルも同上のマグネットを両サイドに設置。楊枝のずれ止めを設け、モーターナセルに取り付けます。
14-2: 

取り付けた状態の写真。

製作(15):

キャノピーの取り付け:
15-1: 

キャノピーも同様に、前部ダウエル(竹串)とマグネットで取り付けます。
マグネットは、100円ショップの13mmφ(4ケ105円)の大きい物を使いました。
15-2: 

胴体側には浸水防止の堰板として、0.5mmのプラ板をキャノピー回りにカッターで溝を掘って埋め、接着しました。これで多少水がかぶっても中にジャブジャブ入ることは避けられます。
15-3:

胴体側前部の写真。
15-4:

キャノピー側は、胴体側の堰板が入る溝を彫っておきます。
15-5:

キャノピー側前部。竹串のダウエルと、プラ板の堰板を接着します。
15-6:

前部のダウエルを差し込み、胴体側の堰板をキャノピー側の溝に差し込みながら装着します。
15-7:

キャノピーを装着した状態。

製作(16): 

水切りチャインの取り付け:
船底の両サイドに、もともと水切りが付いていますが、Ⅴ字底の最底部よりも位置が上にあるので、プレーニング時にステップ部の中に水を貯め込みにくいと予想されるので、ステップ付近にもう少し背の高い水切りチャインを追加することにしました。
16-1:

ステップ付近両サイドに、プラ板から切り出したチャインを接着します。
16-2:

V字最底部よりすこし高い位置になるように大きさを設定しました。
16-3:

横から見たチャイン部分(この後同じカラーに塗装しました)

製作(17):

防水ケースのセッティング:
タッパーに受信機・バッテリーを入れ、コネクター・アンテナ線などをセットします。
エレベータ・ラダーサーボ・スピコンのコネクターは、直接、電飾・フラップ・エルロン用のコネクターは延長ケーブルとして、写真の囲ったケーブルの通った穴の部分をバスコークでシールドします。
シールが十分乾いたら、胴体に両面テープで接着します。

製作(18):

キャノピーの塗装:
箱絵、実機写真を参考に、キャノピーのガラス部分を塗装しました。アクリルプラカラーの艶あり黒、筆塗りです。

後は、白無垢では寂しいので機体のお化粧です。

製作(19): 

ハル(船底)の取り付け:
最後にハルを胴体底に接着しました。機首の部分のハルとの間に少し隙間ができたので、軽量エポキシパテで埋めて修正しました。ここは後で塗装します。

製作(20): 

防水ケース取り付け:

20-1: 

受信機・スピコンからの各ケーブルを接続し、モーターの回転方向、各サーボの動作を確認したら、防水ケースを胴体に両面テープで留めます。
20-2: 

20-3: 

主翼、尾翼、キャノピー等を取り付け、機体の塗装を残してほぼ完成です。この時点で、バッテリーを除いた総重量が322gでした。(防水ケース、電飾を止めれば300g弱であがります)
仮に3S-800mAhのバッテリーを使うとすると、70~75gなので、飛行重量は400g弱ということになります。